鹿児島県薬剤師会 / KPA+ 会長諮問(2026-07-14)

「払っても払わなくても同じ」を変える ── 会員一人を認証する「土台」へ。

組織率の低下が進み、大手企業の会費肩代わり中止でB会員の退会が目立ち始めています。 根本は、会費が開設者(会社)の判断で決まり、本人の意思と無関係に会員が失われること。 そして「ただ乗り」── 払わない勤務薬剤師もほぼ全情報にアクセスでき、「払っても払わなくても同じ」。 だから、会員一人一人を認証し、価値を"払う人にだけ"届けるプラットフォームを、画面ではなく土台としてつくります。

全体像 ── 土台の上にアプリが乗り、薬局どん2は公開×会員のハイブリッドとして接続する

● 会員限定ゾーン(土台に乗る会員アプリ群)

会員ニュース最初に載せる/社保AI配信
AI相談かやくちゃん流用
研修動画・お知らせ順次追加
薬事情報センターQ&A将来アプリ化

■ 別立ち位置

薬局どん2
患者向け検索は公開(ログイン不要)/薬局の情報更新はログイン。非会員薬局も収録する公的DB。
土台のSSOを"使う"が公共インフラ
▲ 乗る ▲
KPA+ 土台会員が共有する基盤
会員ログイン(SSO)1アカウントで全サービス
AI県薬資料・過去問い合わせベース
情報配信双方向・通知で戻り続ける
既存の技術基盤 Firebase(かやくちゃんが動く基盤を流用 / 会員管理システムの全面刷新を待たずに立ち上げる)
対象会長諮問(会長・副会長・専務理事) 状態方向性資料 v1.0(構想・相談段階) 現況2026-07-12 位置会費・決済戦略とは別資料
01

なぜ今か ― 会費構造の脆弱性と「ただ乗り」

「払っても払わなくても同じ」では、会員は守れない

都市部を中心に組織率の低下が進み、地方でも大手企業が管理薬剤師以外の会費肩代わりをやめる動きがあり、B会員の退会が目立ち始めています。

根本にある構造問題 会費負担が開設者(会社)の判断に委ねられているため、本人の意思と無関係に会員が失われる。さらに最大の懸念は「ただ乗り」── 会費を払わない勤務薬剤師もほぼ全ての情報にアクセスできてしまい、「払っても払わなくても同じ」が退会・未加入を後押ししている。

解決には、会員一人一人が「自分の意思で会費を払う」動機づけが要る。その源泉は会員サービスの拡充と、その価値を払う人にだけ届けるアクセス管理。この両方を仕組みとして実現できるのが、会員一人一人を認証するプラットフォームです ── これが今、まっすぐ取り組むべき理由です。


02

なぜ「プラットフォーム」なのか ― HPリニューアルの延長ではない

3つの理由 ― 重複回避・独自価値・戻り続ける仕組み

KPA+は特定のページやアプリの名前ではありません。各サービスが共有する地面です。 組織率の低下という構造的な課題に対し、「ここでしか得られない体験」を会員に届け続けるための共通基盤と位置づけます。

1

SSO

重複を作らない

アプリごとにログインを作ると開発が重複し、会員は使い分けを強いられて結局使われない。1つのアカウントに集約する。

2

AI

独自価値をつくる

県薬の資料・過去の問い合わせに基づくAIを、どのアプリからでも使える共通機能に。ここでしか得られない答え=入会・継続の動機。

3

Delivery

戻り続けさせる

一方通行で埋もれた過去サイトの反省を踏まえ、双方向・通知・AIで会員が繰り返し戻ってくる基盤にする。

設計原則(ゲートは「会員」だけで引かない) 境界は3つの軸で引く:① アカウント(本人確認・会員/非会員を問わない)/② 会員ステータス(会費区分)/③ 薬局への権限会員限定の付帯サービスは②で薬局の機能情報管理は③でゲートする(=公的情報は会員でゲートしない)。この分離が、後からアプリを足しても崩れない構造の要です。詳細は別図解「KPA+ SSO のしくみ」。

03

土台が持つ3つの共有機能

SSO / AI / 情報配信 ― すべてのアプリが共有する

会員ログイン(SSO)

Googleアカウントのように、1つのアカウントで会員サービス全部に入れる。アプリを足すたびにログインを作り直す必要がなくなり、名簿と権限を土台で一元管理できます。
※アカウント=本人確認で、会員かどうかは属性。だから非会員薬局も土台のアカウントを持てる(どん2の機能情報管理のため)。会員価値は「会員属性」を持つ人だけに開く(§4・別図解参照)。

AI(かやくちゃんを流用)

役員向けで実証済みの「かやくちゃん」のAIを流用し、どのアプリからでも呼び出せる共通機能にします。県薬の一次資料に基づく回答は、他では得られない継続動機になります。

留意点 キャラクターの一般公開には日本薬剤師会の許可が必要なため、全会員向けUIはキャラクターに依存しない形で別途用意します(AIエンジンは流用、見せ方は分離)。

情報配信

過去の会員向けサイトは一方通行で埋もれました。その反省から、通知・双方向・AIを組み合わせ、会員が戻り続ける配信基盤にします。メルマガはこの配信(会員ニュース)の受け皿として位置づけを整理します。


04

土台に乗せるアプリ(段階投入)

全面刷新を待たず、小さく載せて育てる

会員管理システムの全面刷新を待たず、Firebaseの土台を流用してKPA+を小さく立ち上げます。最初の一歩は「会員ニュース+AI相談」。以降を順次追加します。

1

会員ニュース + AI相談 最初に載せる

会員ニュースは新規に作り、AI相談はかやくちゃんを流用。社保情報のAI自動配信を会員ニュースの一機能として位置づけ、最初のアプリから独自価値を出す。

2

研修動画・お知らせ 等 順次追加

会員向けコンテンツを土台の上に追加。SSO・配信・AIは土台側を共有するので、アプリ側は中身に集中できる。

3

薬事情報センター Q&A 将来アプリ化

まずはKPA+内のコンテンツとして取り込み、将来的にアプリ化を検討する候補。

薬局どん2 フロント刷新して合流

バックエンドは完成済み。KPA+ではフロントを刷新して土台に載せる。ただし立ち位置は次章のとおり別扱い。


05

薬局どん2 の別立ち位置

土台を"使う"が、会員限定圏の"一員ではない"

薬局どん2 と KPA+(会員基盤)は存在理由が違います。KPA+は会員価値のための基盤、どん2は県民に開かれた公的情報インフラ。 この違いを混ぜないことで、KPA+は遠慮なく会員限定で作れ、どん2は遠慮なく公開で公共信頼を保てます。

薬局どん2 ― 公開閲覧 × 機能情報の管理(会員を問わない) × 付帯サービス(会員限定)

稼働中/バックエンド完成済み。KPA+ではフロントを刷新して合流する。ゲートは「会員か」ではなく3段階で引く。

① 公開閲覧(誰でも)

患者・県民向けの薬局検索。非会員薬局も収録する公的データベース。ログイン不要。

② 機能情報の管理(権限・会員不問)

薬局機能情報の表示は公的サービス。だから非会員薬局も自店の機能情報を管理できる。ゲートは③薬局権限であって②会員ではない。

③ 付帯サービス(会員限定)

AI相談・研修・会員ニュース等のKPA+会員価値。ここだけ ②会員ステータスでゲートする。

立ち位置の原則(重要) 機能情報の表示・管理は「会員」でゲートしてはならない ── 薬局機能情報の提供は公的サービスであり、非会員薬局も対象。 ゲートは③薬局への権限で引き、会員価値(付帯サービス)だけを②会員ステータスで閉じる。 この「会員と権限を分ける」設計が、公益法人としての正当性と会員限定価値を両立させます。
正確性の維持=2つの公的ソース+会員編集のハイブリッド 表示だけでは不十分。開局時間等が変わっても非会員が更新できなければ齟齬が出る。強みが逆の2つの公的データに、会員の自己編集を重ねる。

▼ データ供給フロー ― 速さ(厚生局)・詳しさ(医療情報ネット)・最新(会員)を pharmacyCode で1つに統合

九州厚生局
月次・速報
  • 名称・住所・郵便番号
  • 電話番号
  • 保険薬局コード・管理薬剤師
  • 現存/休止
▼ 電話でJOIN(実測 96.4%)
医療情報ネット
半年・詳細(G-MIS由来)
  • 詳細な開局時間
  • 曜日別・時間帯1〜4
  • PDL1.0 無償
  • ※電話・保険コード無し
▼ 名称+住所(ほぼ全自動)
会員・非会員の自己編集
随時・最新
  • 会員が自店を最新化
  • 非会員もオンボードで可
  • 電話からコード採番
  • override 方式
▼ 最優先で上書き
薬局どん2 統合マスター(pharmacyCode = 電話番号)
マージ優先度:会員編集 > 開局時間(医療情報ネット) > 基本情報・存在(厚生局)
① 公開閲覧(誰でも)
② 機能情報の管理(権限・会員不問)
③ 付帯サービス(会員限定)
= ②会員ステータスでゲート
実測(手元の実データで名寄せ検証済み):厚生局↔どん2=電話キーで96.4%自動一致(833中803)/医療情報ネット↔どん2=重複分はほぼ全自動(名称+市区町村で789件一致・要人手判定は1件)。医療情報ネットにあってどん2に無い=67件の新規非会員候補(開局時間付きで追加可)。※素の正規化のみの保守値=名寄せの手間はごく僅か。副産物:厚生局取込で保険薬局コード・管理薬剤師名も入手(将来キー/SSOの管理薬剤師特定に活用可)。

06

横断ハブ ― 既存資産の合流と整理

散らばった資産を土台へ集約し、役割を整理する

KPA+は既存プロジェクトを束ねる横断ハブでもあります。各資産の行き先を明確にします。

既存資産 → KPA+ での行き先
既存資産行き先扱い
HP会員向け(y_top)KPA+へ移行最終的に廃止移行・廃止
メルマガ会員ニュースの受け皿として位置づけ整理合流
かやくちゃんKPA+のAIとして合流(エンジン流用)合流
薬事情報センター Q&AKPA+内コンテンツ将来アプリ化候補取り込み
薬局どん2フロント刷新して合流(別立ち位置)合流
会員管理システム並行して刷新(内製化を検討)並行刷新

07

お金の考え方 ― 委員会予算内で内製する

★ 大きな判断ポイント ― ただし立ち上げの前提にはしない

都度スポット費用
会員管理システムの改修費用変更のたびに外注で発生(年額固定費ではない)

論点:会員管理システムの改修は外注のスポット費用(都度発注)で発生する。年額固定費ではないが、変更のたびに費用とリードタイムがかかり、自分たちで機動的に直せない。内製化でこの都度費用と外注依存から脱却できるかが、事業全体の判断ポイントです。

私見① ― 立ち上げの前提にしない:KPA+の立ち上げを内製化の完了に待たせないこと。まずFirebaseの土台で先行し、会員名簿は現行システムを正としてSSOへ同期すれば、刷新を待たずにアプリを載せられます。
※役割の整理:認証(誰か)=Firebase会費・資格の"正"=当面 会員管理システム。層が別なので両立します。SSOの個人IDは会員属性を"参照"するだけで、"正"を持ちません。

私見② ― 「固定費削減」ではなく「機動性」で捉える:内製化の効果は年額固定費の削減ではなく、改修を自分たちで即座に・追加のスポット費用なしで行える機動性。都度発注のコストと外注リードタイムを無くすのが本質です。ただしそれは会費徴収・名簿・資格管理のパリティに到達して初めてで、数年コミットの投資。KPA+がプラットフォームとして実証された後に判断するのが最も低リスクです。

進め方の勘所 「土台の立ち上げ(先行・小さく)」と「会員管理の刷新(並行・時間をかける)」を別トラックとして分離する。 片方の遅れがもう片方を止めない構造にすることが、この事業を確実に前へ進める鍵です。

08

リスクと守り

やらないことを決め、属人化を避け、小さく確かめる

1

AIの範囲を分離

薬学的な臨床判断はAIに委ねず、会の活動などの情報に限定する。

2

患者情報の保護

厳重な投稿規定を設け、外部に漏れないよう最善の注意を図る。

3

セキュリティは設計が最重要

第三者機関によるチェックも検討している。

4

属人化を回避

開発はすべて組織のアカウント(Google Workspace)上で行い、管理権限はいつでも他の担当者へ移動できる設計。特定個人に依存しない。

5

小さく試して広げる

かやくちゃんと同様、まず役員対象にドラフト版を運用し、うまくいったものから順次全会員へ拡大する。


09

事務局への影響 ― 仕事は減る方向

AI活用で雑務を減らし、残業も縮める

ねらい 理事や委員がAIをフル活用することで、事務局へ依頼する雑務が劇的に減ることが期待される。あわせて事務局自身にもAIを積極活用してもらい、仕事の効率化・残業時間の縮小を同時に進める。

10

進め方とタイムテーブル

土台は先行、会員管理は並行

2026-06-30 ・ 完了

方向性資料 v1.0

構想を提示し、委員会相談の段階へ。薬局どん2は稼働中、かやくちゃんは役員向けで実証済み。

順次 ・ 次の一手

土台 + 会員ニュース + AI を立ち上げ

Firebaseの土台にSSO・AI・情報配信を実装し、最初のアプリ「会員ニュース+AI相談」を載せる。社保情報のAI自動配信を会員ニュースに搭載。

順次

薬局どん2 フロント刷新 → アプリ追加

どん2を土台に合流させ、研修動画・お知らせ等を順次追加。Q&Aは取り込み後にアプリ化を検討。
あわせて非会員データを厚生局(月次・電話JOIN)+医療情報ネット(半年・開局時間)+会員編集のハイブリッドで整備(名寄せは実測で低リスク確認済み)。

並行トラック

会員管理システムの刷新(内製化を検討)

土台の立ち上げとは切り離し、時間をかけて刷新。パリティ到達後に内製化の是非を判断。


11

追加機能プラン ── 研修カレンダー(今後)

案内 → 申込 → 決済 → 受講記録 → CPD/JPALSポートフォリオの充足確認、を一つの循環に

研修を「探す→申し込む→受ける→記録が残る→不足がわかる」の循環にする追加アプリ。会員の個人アカウント(SSO)・ポートフォリオ・決済(Stripe)の上に自然に乗る。

1

カレンダー案内

月間/リスト表示。主催・九州・その他、対面/オンライン、単位区分、専門領域でフィルタ。専門領域でパーソナライズ(おすすめ)。

2

研修会 詳細 → 個人申込

個人アカウント(SSO個人ID)で申込。管理者一括申込を壊し、記録が本人に残る=転職しても消えない価値。

3

決済(Stripe)

有料研修は即決済(カード/コンビニ/Apple Pay)、無料は申込のみ。会員/非会員価格。キャンセル・返金・請求書を自動化。IAP回避のため外部決済(Web/PWA)

4

受講記録

出席(QR/受付コード)・オンライン視聴完了を記録し、個人IDのポートフォリオに蓄積。

5

PS(CPD/JPALS ポートフォリオ)の確認

受講内容をCPD(生涯研鑽)の自己研鑽サイクル/JPALS の達成状況にマッピングし、ポートフォリオの充足度を可視化。

6

不足の可視化 → カレンダーへ循環

手薄な領域・未充足の項目を表示し、それを埋める今後の研修をカレンダーから提案(→ ①に戻る)。

要件マスタは一次情報のみ(AI生成禁止) CPD/JPALS・認定薬剤師の要件(何をどれだけで充足か)は、日薬・認定機構等の公式情報を転記して用いる。AI生成は禁止し、薬剤師監修を必須とする。ここを誤ると「不足の可視化」が信頼を失う。
位置づけ 本機能はサービスプランの認定単位の自動管理・ポートフォリオ(会費戦略)を具体化したもの。ロードマップ Phase 3(有料プラン期)に、「カレンダー+無料申込 → Stripe有料申込 → 受講記録 → PSダッシュボード」の順で段階投入する。個人のGoogle/iCalカレンダー連携(申込=予定追加)も検討候補。

12

本日ご了承いただきたいこと/本日は決めないこと

会長諮問 ― 決める範囲を明確にし、議論の発散を防ぐ

1
サービスを1つの土台に集約する方針
会員向けのログイン(SSO)・AI・情報配信を、バラバラに作らずKPA+の1つの土台に集約する方針をご了承いただく。
2
小さく始めて段階的に広げる進め方
まず役員・一部から試し、うまくいったものから順次全会員へ拡大する進め方をご了承いただく。
3
委員会・WGで詳細検討を続けること
保険医療委員会・WGで、設計と運用の詳細検討を継続することをご了承いただく。
本日は決めないこと(議論の発散を防ぐ) 会費・決済・価格・内製化は本日は決めません。後日の理事会・総会マターとして、別途の資料③(会費・決済戦略)・資料④(財務シミュレーション)で協議します。
本資料は「土台+アプリ+薬局どん2の立ち位置+リスクと守り」に集中しています。会費・収益設計は別資料(資料③④)として、プラットフォームの方向性がご了承された後に協議します。