鹿児島県薬剤師会 / デジタル事業方針 2026

KPA+ は画面ではなく、会員サービスが共有する「土台」である。

アプリごとにログインもAIも情報配信もバラバラに作れば、機能は重複し、会員は使い分けを強いられ、やがて使われなくなります。 だから1つの会員アカウント(SSO)で全サービスに入れる共通の土台を先につくり、 その上にアプリを乗せて育てる。土台にはログイン・AI・情報配信を集約し、 既存の技術基盤(かやくちゃんが動くFirebase)を流用します。 薬局どん2はこの土台に合流しますが、公的インフラという別の立ち位置を保ちます。

全体像 ── 土台の上にアプリが乗り、薬局どん2は公開×会員のハイブリッドとして接続する

● 会員限定ゾーン(土台に乗る会員アプリ群)

会員ニュース最初に載せる/社保AI配信
AI相談かやくちゃん流用
研修動画・お知らせ順次追加
薬事情報センターQ&A将来アプリ化

■ 別立ち位置

薬局どん2
患者向け検索は公開(ログイン不要)/薬局の情報更新はログイン。非会員薬局も収録する公的DB。
土台のSSOを"使う"が公共インフラ
▲ 乗る ▲
KPA+ 土台会員が共有する基盤
会員ログイン(SSO)1アカウントで全サービス
AI県薬資料・過去問い合わせベース
情報配信双方向・通知で戻り続ける
既存の技術基盤 Firebase(かやくちゃんが動く基盤を流用 / 会員管理システムの全面刷新を待たずに立ち上げる)
対象委員会 審議用 状態方向性資料 v1.0(構想・相談段階) 現況2026-07-05 位置会費・決済戦略とは別資料
01

なぜ「土台」に集約するのか

3つの理由 ― 重複回避・独自価値・戻り続ける仕組み

KPA+は特定のページやアプリの名前ではありません。各サービスが共有する地面です。 組織率の低下という構造的な課題に対し、「ここでしか得られない体験」を会員に届け続けるための共通基盤と位置づけます。

1

SSO

重複を作らない

アプリごとにログインを作ると開発が重複し、会員は使い分けを強いられて結局使われない。1つのアカウントに集約する。

2

AI

独自価値をつくる

県薬の資料・過去の問い合わせに基づくAIを、どのアプリからでも使える共通機能に。ここでしか得られない答え=入会・継続の動機。

3

Delivery

戻り続けさせる

一方通行で埋もれた過去サイトの反省を踏まえ、双方向・通知・AIで会員が繰り返し戻ってくる基盤にする。

設計原則(ゲートは「会員」だけで引かない) 境界は3つの軸で引く:① アカウント(本人確認・会員/非会員を問わない)/② 会員ステータス(会費区分)/③ 薬局への権限会員限定の付帯サービスは②で薬局の機能情報管理は③でゲートする(=公的情報は会員でゲートしない)。この分離が、後からアプリを足しても崩れない構造の要です。詳細は別図解「KPA+ SSO のしくみ」。

02

土台が持つ3つの共有機能

SSO / AI / 情報配信 ― すべてのアプリが共有する

会員ログイン(SSO)

Googleアカウントのように、1つのアカウントで会員サービス全部に入れる。アプリを足すたびにログインを作り直す必要がなくなり、名簿と権限を土台で一元管理できます。
※アカウント=本人確認で、会員かどうかは属性。だから非会員薬局も土台のアカウントを持てる(どん2の機能情報管理のため)。会員価値は「会員属性」を持つ人だけに開く(§4・別図解参照)。

AI(かやくちゃんを流用)

役員向けで実証済みの「かやくちゃん」のAIを流用し、どのアプリからでも呼び出せる共通機能にします。県薬の一次資料に基づく回答は、他では得られない継続動機になります。

留意点 キャラクターの一般公開には日本薬剤師会の許可が必要なため、全会員向けUIはキャラクターに依存しない形で別途用意します(AIエンジンは流用、見せ方は分離)。

情報配信

過去の会員向けサイトは一方通行で埋もれました。その反省から、通知・双方向・AIを組み合わせ、会員が戻り続ける配信基盤にします。メルマガはこの配信(会員ニュース)の受け皿として位置づけを整理します。


03

土台に乗せるアプリ(段階投入)

全面刷新を待たず、小さく載せて育てる

会員管理システムの全面刷新を待たず、Firebaseの土台を流用してKPA+を小さく立ち上げます。最初の一歩は「会員ニュース+AI相談」。以降を順次追加します。

1

会員ニュース + AI相談 最初に載せる

会員ニュースは新規に作り、AI相談はかやくちゃんを流用。社保情報のAI自動配信を会員ニュースの一機能として位置づけ、最初のアプリから独自価値を出す。

2

研修動画・お知らせ 等 順次追加

会員向けコンテンツを土台の上に追加。SSO・配信・AIは土台側を共有するので、アプリ側は中身に集中できる。

3

薬事情報センター Q&A 将来アプリ化

まずはKPA+内のコンテンツとして取り込み、将来的にアプリ化を検討する候補。

薬局どん2 フロント刷新して合流

バックエンドは完成済み。KPA+ではフロントを刷新して土台に載せる。ただし立ち位置は次章のとおり別扱い。


04

薬局どん2 の別立ち位置

土台を"使う"が、会員限定圏の"一員ではない"

薬局どん2 と KPA+(会員基盤)は存在理由が違います。KPA+は会員価値のための基盤、どん2は県民に開かれた公的情報インフラ。 この違いを混ぜないことで、KPA+は遠慮なく会員限定で作れ、どん2は遠慮なく公開で公共信頼を保てます。

薬局どん2 ― 公開閲覧 × 機能情報の管理(会員を問わない) × 付帯サービス(会員限定)

稼働中/バックエンド完成済み。KPA+ではフロントを刷新して合流する。ゲートは「会員か」ではなく3段階で引く。

① 公開閲覧(誰でも)

患者・県民向けの薬局検索。非会員薬局も収録する公的データベース。ログイン不要。

② 機能情報の管理(権限・会員不問)

薬局機能情報の表示は公的サービス。だから非会員薬局も自店の機能情報を管理できる。ゲートは③薬局権限であって②会員ではない。

③ 付帯サービス(会員限定)

AI相談・研修・会員ニュース等のKPA+会員価値。ここだけ ②会員ステータスでゲートする。

立ち位置の原則(重要) 機能情報の表示・管理は「会員」でゲートしてはならない ── 薬局機能情報の提供は公的サービスであり、非会員薬局も対象。 ゲートは③薬局への権限で引き、会員価値(付帯サービス)だけを②会員ステータスで閉じる。 この「会員と権限を分ける」設計が、公益法人としての正当性と会員限定価値を両立させます。
正確性の維持=2つの公的ソース+会員編集のハイブリッド 表示だけでは不十分。開局時間等が変わっても非会員が更新できなければ齟齬が出る。強みが逆の2つの公的データに、会員の自己編集を重ねる。

▼ データ供給フロー ― 速さ(厚生局)・詳しさ(医療情報ネット)・最新(会員)を pharmacyCode で1つに統合

九州厚生局
月次・速報
  • 名称・住所・郵便番号
  • 電話番号
  • 保険薬局コード・管理薬剤師
  • 現存/休止
▼ 電話でJOIN(実測 96.4%)
医療情報ネット
半年・詳細(G-MIS由来)
  • 詳細な開局時間
  • 曜日別・時間帯1〜4
  • PDL1.0 無償
  • ※電話・保険コード無し
▼ 名称+住所(ほぼ全自動)
会員・非会員の自己編集
随時・最新
  • 会員が自店を最新化
  • 非会員もオンボードで可
  • 電話からコード採番
  • override 方式
▼ 最優先で上書き
薬局どん2 統合マスター(pharmacyCode = 電話番号)
マージ優先度:会員編集 > 開局時間(医療情報ネット) > 基本情報・存在(厚生局)
① 公開閲覧(誰でも)
② 機能情報の管理(権限・会員不問)
③ 付帯サービス(会員限定)
= ②会員ステータスでゲート
実測(手元の実データで名寄せ検証済み):厚生局↔どん2=電話キーで96.4%自動一致(833中803)/医療情報ネット↔どん2=重複分はほぼ全自動(名称+市区町村で789件一致・要人手判定は1件)。医療情報ネットにあってどん2に無い=67件の新規非会員候補(開局時間付きで追加可)。※素の正規化のみの保守値=名寄せの手間はごく僅か。副産物:厚生局取込で保険薬局コード・管理薬剤師名も入手(将来キー/SSOの管理薬剤師特定に活用可)。

05

横断ハブ ― 既存資産の合流と整理

散らばった資産を土台へ集約し、役割を整理する

KPA+は既存プロジェクトを束ねる横断ハブでもあります。各資産の行き先を明確にします。

既存資産 → KPA+ での行き先
既存資産行き先扱い
HP会員向け(y_top)KPA+へ移行最終的に廃止移行・廃止
メルマガ会員ニュースの受け皿として位置づけ整理合流
かやくちゃんKPA+のAIとして合流(エンジン流用)合流
薬事情報センター Q&AKPA+内コンテンツ将来アプリ化候補取り込み
薬局どん2フロント刷新して合流(別立ち位置)合流
会員管理システム並行して刷新(内製化を検討)並行刷新

06

会員管理システムの内製化

★ 大きな判断ポイント ― ただし立ち上げの前提にはしない

都度スポット費用
会員管理システムの改修費用変更のたびに外注で発生(年額固定費ではない)

論点:会員管理システムの改修は外注のスポット費用(都度発注)で発生する。年額固定費ではないが、変更のたびに費用とリードタイムがかかり、自分たちで機動的に直せない。内製化でこの都度費用と外注依存から脱却できるかが、事業全体の判断ポイントです。

私見① ― 立ち上げの前提にしない:KPA+の立ち上げを内製化の完了に待たせないこと。まずFirebaseの土台で先行し、会員名簿は現行システムを正としてSSOへ同期すれば、刷新を待たずにアプリを載せられます。
※役割の整理:認証(誰か)=Firebase会費・資格の"正"=当面 会員管理システム。層が別なので両立します。SSOの個人IDは会員属性を"参照"するだけで、"正"を持ちません。

私見② ― 「固定費削減」ではなく「機動性」で捉える:内製化の効果は年額固定費の削減ではなく、改修を自分たちで即座に・追加のスポット費用なしで行える機動性。都度発注のコストと外注リードタイムを無くすのが本質です。ただしそれは会費徴収・名簿・資格管理のパリティに到達して初めてで、数年コミットの投資。KPA+がプラットフォームとして実証された後に判断するのが最も低リスクです。

進め方の勘所 「土台の立ち上げ(先行・小さく)」と「会員管理の刷新(並行・時間をかける)」を別トラックとして分離する。 片方の遅れがもう片方を止めない構造にすることが、この事業を確実に前へ進める鍵です。

07

進め方とタイムテーブル

土台は先行、会員管理は並行

2026-06-30 ・ 完了

方向性資料 v1.0

構想を提示し、委員会相談の段階へ。薬局どん2は稼働中、かやくちゃんは役員向けで実証済み。

順次 ・ 次の一手

土台 + 会員ニュース + AI を立ち上げ

Firebaseの土台にSSO・AI・情報配信を実装し、最初のアプリ「会員ニュース+AI相談」を載せる。社保情報のAI自動配信を会員ニュースに搭載。

順次

薬局どん2 フロント刷新 → アプリ追加

どん2を土台に合流させ、研修動画・お知らせ等を順次追加。Q&Aは取り込み後にアプリ化を検討。
あわせて非会員データを厚生局(月次・電話JOIN)+医療情報ネット(半年・開局時間)+会員編集のハイブリッドで整備(名寄せは実測で低リスク確認済み)。

並行トラック

会員管理システムの刷新(内製化を検討)

土台の立ち上げとは切り離し、時間をかけて刷新。パリティ到達後に内製化の是非を判断。


08

追加機能プラン ── 研修カレンダー(今後)

案内 → 申込 → 決済 → 受講記録 → CPD/JPALSポートフォリオの充足確認、を一つの循環に

研修を「探す→申し込む→受ける→記録が残る→不足がわかる」の循環にする追加アプリ。会員の個人アカウント(SSO)・ポートフォリオ・決済(Stripe)の上に自然に乗る。

1

カレンダー案内

月間/リスト表示。主催・九州・その他、対面/オンライン、単位区分、専門領域でフィルタ。専門領域でパーソナライズ(おすすめ)。

2

研修会 詳細 → 個人申込

個人アカウント(SSO個人ID)で申込。管理者一括申込を壊し、記録が本人に残る=転職しても消えない価値。

3

決済(Stripe)

有料研修は即決済(カード/コンビニ/Apple Pay)、無料は申込のみ。会員/非会員価格。キャンセル・返金・請求書を自動化。IAP回避のため外部決済(Web/PWA)

4

受講記録

出席(QR/受付コード)・オンライン視聴完了を記録し、個人IDのポートフォリオに蓄積。

5

PS(CPD/JPALS ポートフォリオ)の確認

受講内容をCPD(生涯研鑽)の自己研鑽サイクル/JPALS の達成状況にマッピングし、ポートフォリオの充足度を可視化。

6

不足の可視化 → カレンダーへ循環

手薄な領域・未充足の項目を表示し、それを埋める今後の研修をカレンダーから提案(→ ①に戻る)。

要件マスタは一次情報のみ(AI生成禁止) CPD/JPALS・認定薬剤師の要件(何をどれだけで充足か)は、日薬・認定機構等の公式情報を転記して用いる。AI生成は禁止し、薬剤師監修を必須とする。ここを誤ると「不足の可視化」が信頼を失う。
位置づけ 本機能はサービスプランの認定単位の自動管理・ポートフォリオ(会費戦略)を具体化したもの。ロードマップ Phase 3(有料プラン期)に、「カレンダー+無料申込 → Stripe有料申込 → 受講記録 → PSダッシュボード」の順で段階投入する。個人のGoogle/iCalカレンダー連携(申込=予定追加)も検討候補。

09

委員会に諮る論点

7/7 に協議 ― 会議後に議事録で更新する

1
1つの土台に集約する方針の承認
会員向けの共通ログイン(SSO)・情報整理・AIを、バラバラに作らずKPA+の1つの土台に乗せる方針を承認するか。
2
段階的アプローチの合意
新規アプリは「会員ニュース+AI相談+薬局どん」から始め、順次拡張する段階的な進め方に合意するか。
3
社保情報のAI自動配信の位置づけ
社保情報のAI自動配信を、最初のアプリ(会員ニュース)の一機能として位置づけるか。
会員管理システムの内製化
会員管理システムの改修は都度の外注スポット費用で発生(年額固定費ではない)。内製化でこの都度費用と外注依存から脱却し、自分たちで機動的に直せるか。事業全体の大きな判断ポイント(立ち上げの前提にはしない前提で並行検討)。
会費・ランク・決済(3レイヤー戦略)は別資料に分離しています。本資料は「土台+アプリ+薬局どん2の立ち位置+内製化」に集中し、収益設計(会費で使い放題/有料プラン/物販)はプラットフォームが実証された後の議論として、別途の方針書で扱います。